INTERVIEW
現場の声 インタビュー⑦
渭南病院助産師
筒井久美 氏

- 土佐清水市の好きなところ・魅力 -
土佐清水市が好きかと言われると、よくわからないところもありますが、大切な人がいるこのまちを大切にしたいという思いがあります。
自分がいてもいなくても、家族や友人など大切な人の人生はこの場所で続くので、自分にできることがここにあるならば、必要とされるならば、やっていきたいという気持ちがあります。
- 土佐清水市で助産師として働くやりがいは? -
元々美術に興味があり、土佐清水市に戻ってきてから、休校中の母校で県立美術館と一緒にアートプロジェクトを行うなど、地域おこしとアートを結びつけるような活動をしていました。
助産師という仕事は、自分の出産をきっかけに看護学校に入学し目指しました。
妊娠出産育児を通して経験したこと、喜びや失敗を活かして母子の支援をしたいと思ったからです。
妊娠期~出産までは、産科での説明がちゃんと理解できていなくて安全な行動がとれなかったことがありました。今思えば怖いことですが、病院スタッフの言葉がいかにお母さんに正確に伝わりづらいかということを感じました。また、授乳中は、支援を十分に受けられずつらい思いをしました。そういった経験から、お母さんに伝わる説明の工夫や理解の確認、きめ細やかな授乳支援を心がけています。
胎児期から2歳頃までの「人生最初の1000日の栄養」がその後の人生にとって非常に重要だと言われていますが、授乳支援の専門家として、この大事な人生の始まりを丁寧に支援していきたいと思っています。
産科にいた時、もっと長く近く母子に寄り添える方法がないかと思っていました。
渭南病院に来て、市からの受託事業で子育て支援に携わり、ずっとやりたかったこと
ができる喜びを感じています。お母さんたちが困ったことがあればいつでも気軽に相談できる存在になりたいと思います。
子育て支援の事業では、自宅を訪問し妊婦さんや産後のお母さんの支援をします。
訪問では、病院と違ってゆっくりお母さんのペースでお母さんのテリトリーで話を聞
くことができます。ついつい後回しにしてしまうお母さん自身の悩みを聞くことがで
きるのも、助産師としてのやりがいです。
- 土佐清水市で働き感じる課題と困難さ -
社会資源の乏しさがあります。ファミリーサポートセンターは設立されましたが、
病児保育や夜間保育などは整備されていないし、一人親世帯を支援する体制にも
足りないものが多いと感じます。
本市に限ったことではないですが、養育について支援を必要とするご家庭も増えて
います。赤ちゃんが健やかに育つためにも、お母さんやお父さんに寄り添って、
育児に自信をもってもらえるように支えて行けたらいいなと思っています。
- 清水でみんなができること、やってみたいこと -
自分が母親になった時に感じた「支援が足りない」を少しでも軽減できるように、
気軽に相談できる存在になりたいと思っています。
産科がお産をメインに関わることが多いので、地域の助産師としては妊娠から産後までの、産科が関われない部分をフォローできるようにしたいです。1か月健診が終わり産科を卒業すると、お母さん自身のことがなかなか相談できなくなるので、自分が小児科にいて、お母さんに気軽に話してもらえる機会があることは強みだと思います。お母さんのすぐそばでなんでも相談できる存在、お母さんたちと一緒に考えたり、わかりやすく必要な知識を伝えられる専門職でありたいと思っています。
人口が減っている土佐清水市ですが、一人でも赤ちゃんが生まれるならば、私にできることを精一杯続けていきたいと思っています。